みんな、
馬とのあいさつがどんどん深くなり、
馬房の掃除もとても手際よく速くなって、
素敵だね、いいなぁ、馬が喜んどるよ。
最高だね。
そんな中、また今日もおなじかぁ、
と小慣れた空気をかもし出す子もちらほら。
さすが、飽きやすい。
飽きやすいことはいいことだよ。
新しい体験が待っとるでね。
さぁ、では、新しい世界へ連れて行ってしんぜよう。
君たちが自分でも知らない己の勇気と立ち会わせてしんぜよう。
ここは馬場。
初めて来たね。
お、馬が3頭おるね。
何が起こるんだ?
とりあえずみんなは隅におって。
さぁ、
よっしー先生の目の色が変わり、
ササッと何か手を振ると、
ヒヒッヒヒヒーン!!
!!!???
ドドドドドー!!
うぉぉぉおおー、馬がマジな馬になった!!
鳴いて走り出して、生物の息吹や殺気を感じる!
迫力がありすぎて、震える!荒ぶる!
みんなどう?
その感情はなんだろう?
不安?怖い?ドキドキ?あらぶる?
言葉にならない?
それ!言葉にならない方がいいよ!!
その感情がすべてさ。
今だ!むきあおう!!
どんとしんく!ふぃーーーーーる!!
さてはて、新しい世界だね。
今までみんなで馬の世話をしたり、みんなで馬を散歩したりしてきたね。
ところが、今日は、一人で馬をひいて歩くんだ。
想い通りにはいかないよ。
人生はそんなに簡単ではない。
今までは与えられてきたかもしれないけれど、
誰かが手を差し伸べてくれてきたかもしれないけれど、
ここはそうではない。
自分よりも大きい力と自分より大きい命と、
伝える、関係するってことを全身全霊でやるんだ。
怖いよな。
ビビるよな。
誰かに変わって欲しいよな。
それ以上、手綱をひっぱるの怖いよな。
しっかりその感情と向き合うんだ。
その先へ、その向こう側へいくんだ。
俺たちは大丈夫。
君たちを心の底から信じて見守っとるから。
与えない。手を差し伸べない。
それは君たちの勇気を、君の存在を信じとるからだ。
体中で、大きな声を出して、伝えてみな。
言葉が伝わらない?
ホントかな?
言葉が伝わらんでも伝わることがあるよ。
それを感じられるかどうか。
それを信じて、この先の人生を生きて行くかどうか。
大きく違うよ。
そして、
ビビりながらも震えながらも、最後まで手を離さず、
想いを伝えてゴールしてくる君たちの姿にとても感動をもらったよ。
ありがとう!
大人になると中途半端にかっこつけて、ビビる姿を見せなかったり、
怖いという感情を押し殺したりしてしまう。
あかんよね。
それこそがダサいよね。
君たちの恐れながらも立ち向かう勇気に涙が出たよ。
恐れをおもいっきり感じた分、
おおきなおおきな一歩を踏み出したという、
その勇気の裏側に咲く花のような感情を、
その美しさの触れ幅を大事にね。
人は人を感動させられるということを、
そして、それが自分だということを、大切に胸に抱いときなね。
いつもありがとう!
すんげぇ怖かったけど、すんげぇ気持ちよかったな!
佐藤由明