「かきごおりには、なにあじのしろっぷをかける?」
はじめてあったともだちの何が知りたい?
の質問に、真っ先に聴いた質問がこれでした。
かわいいなぁ、今日もげんきだね。なつだね。
さぁ今日も遊ぼう!
今日もこちとらいろいろ用意しとるけど、
自分で作り出した遊びの方が、やっぱり楽しいよね。
しばらくは本気で自分の遊びをつくりだす。
そして、自分で決めたことには責任がともなう、ということを体験してもらう時間です。
さぁ、自己紹介や、お互いのことを知りあったら、
新しい仲間も加わったから、
「今日はかずやとらいとが先生ね。」
少しきょとんとした2人。
でも、少し間を置いて、
「うん、おれたち、せんせい、がんばる!」
よし、やってごらん。
地球儀で世界を飛ぶ遊び。
2人はうまくルールを伝え、新しい友達もとても楽しく遊びました。
じゃぁ、次は「ひきざんゲーム」をやるよ。とがんばる先生2人。
でも、話を聴いてもらえなかったり、
ひきざんなんてげーむじゃない、という声が起こったり、
とにかく言うことをきいてもらえません。
いいよ、がんばりな。
時が経つと共に、どんどん不穏な空気に。
「やってらんなーい」
「うるさいよぉ!」
「じゃぁ、おまえがやれよ!」
「じゃぁ、さんぽいこー!」
「ダメだよ、さんぽは17時30分からなんだよー!」
「いいじゃん」
「ダメだよ、もー。らいともせんせいでしょー、ちゃんとまじめにやれよお。」
「かずやがせつめいしてるんじゃん。らいとはつぎにおこるから。」
ぐちゃぐちゃな空気に叫び声が交じります。
でも、こちらはじっと待ちます。
視線で助けを投げかけても、先生は扇風機と遊んでます。
今日の先生は2人だよ。
あーー!!もうーー!ぎゃーーーー!!わーーー!!
もっとやりな。ちゃんと伝えなよ。
激しいけんかをもっとしたらいい。
本気で嫌なことは嫌だ、と叫べばいい。
いい子なんかになってくれるなよ。
手を出さずに彼らを信じ、時に見つめ、時に気配を消し、じっと待つ。
これは学校ではやれないこと。
子どもにとっては、はじめての体験。
大人が制さず、手を出してくれない体験。
だからこそ、自分で決めて、自分で責任をもつんだ。
責任はそんなに簡単じゃないことを知るのは、
よりよく自分の人生を生きるのにとても大切なこと。
何かをつくる。
何かを決める。
人や世界と関係する。
とは、そういうこと。
人に手を出され、制されて決まったことや、やることは、
どこかで責任を逃れることができてしまう。
それはあんまり楽しくない。
ちゃんと自分にすべてが返ってくる体験をちゃんとしよう。
さて、
20分も立てば、不穏な空気は無くなり、
おもいっきりぶつかった後、なんの屈託もない笑顔で遊び合う子どもたち。
ね、そうだよね、ぶつけあえあばいいんだよ。
相手のことも分かるし、なによりも自分のことがよく分かる。
自分で場を創る。
自分たちで空気を変える。
その体験が終わり、
「先生やってみてどうだった?」と聴くと、
「ちょっときびしくしすぎちゃったかな。
もっときびしくすればよかったのかな。
せんせいってむずかしいね。」
「きびしいのがせんせいなのかな?
まじめなのがせんせいなのかな?」
「うーん、どうだろう。かんがえてみる。」
うん、考えてみりん。
おもいっきり感情をぶつけた後、考えてみる。
なりきってみて、相手の立場を発見する。
こたえのないもんだいこそ、ほんとうにたいせつなこと。
本当の体験は、誰にも手を出されない先にある。
自分だけで、葛藤をして、自分の感じたことを信じて、考える。
いっぱい、いろんなものになってみなね。
じんせいはたのしいよ。
そして、せんせいもたのしいもんだよ。
俺はまじめでも、きびしくもなく、まじめできびしいけどね。
佐藤由明