【聴くことと、描くことと、静けさ】
こんにちは。かゆ先生代講の髙木啓多です。
前回から続いて「響き」をテーマに、今回は「音を聴く」ことを軸に進みました。
なにかの音を聴こうとすると、自分で意識的に耳を澄まします。
例えばつけっぱなしのTVから受け身的に音が聞こえてくるのではなく、
自分から積極的に音を迎え入れる感じでしょうか。
それから、そもそも静かでないと、聴こえません。
音量が小さいという意味の静けさもそうですが、意識を向けるときの心の静けさも同時に必要で、
聴く体験は静けさの体験とも言えるかもしれません。
さて、実際にいろいろな音を聴いてみましょう。
身の回りのものを叩くと、どんな音が返ってくるのでしょう。
はじめは、車のサスペンションのスプリング。
色鉛筆で叩く、ハサミで、手で、金属棒で、置いて、浮かせて。
それぞれに鳴り方は違います。
その他にも風鈴、土鈴、カウベル、鈴、定規、棒、板、バッグの持ち手、シンギングボウル、
等々いろいろ聴いてみました。
次は空気経由ではなく、直接身体に振動を伝えてみます。
耳に直接つけると「うわっ!」「これ一番やばっ!」と全然違う響きの感動があります。
手のひらに載せるとビリビリするし、ボウルに水を張ったら細かいきれいな波紋が現れたりして、
いろいろ遊びながら、音を絵にしてみました。
絵にするために聴くというよりも、聴くために描く体験で、
聴くためには静かに耳を立てないと聴けないし、
それを描くときも内側が静かでないと描けないので、
結果としてやはり静けさも同時にあったように思います。
最後はフレームで仕立てて、ギャラリートーク。
「この中で先生の感覚に一番近いのはどれ?」と聞かれたのでみんなの作品を見てみましたが、
「この中には無いなぁ」と答えました。みんな、内側に響いてるものが違うからかな。
「俺のは適当に描いただけ〜」と言っても、言葉になる前のことも絵には表現できて、
説明的でなく感覚を”適当”な色と形におとせることが素晴らしいと思うんだけどね。
また機会があればお会いしましょう。
今日は一緒に楽しい体験をありがとうございました。